「瞬!!!」

「…あ~…ごめんごめん!」

「…んもぅ…。離れてまで私はからかわれなきゃいけないんだぁ…勘弁してよぉ。」


私は一人頭を掻き毟り、狭いソファの上で体勢を変え、電話を持ち替えた。


「あ、やべぇ…。」

「ん?」

「本気で、無性に艶香に会いたくなってしまった。今すぐ抱きつきたいっ」

「…だ、抱きついてみたらいいじゃない。」

「キスもしたい…」

「…し、したらいいじゃない。」


「禁欲中だっていうのに…『あいたいよぉ』でスイッチ入ったじゃん。責任とれよ?」

「そこは…瞬お得意の『理性』で頑張ってよ。」



…駄目だ。この会話のリズム感が、本当に無性に瞬に会いたくなってしまう。

話せば、話すほど…

私達はきっと互いに互いの存在を求めてしまうのだろう。


「責任とって…会いに来いっ!」

「えっ?…行ってもいいの?」

「来い。」


ふざけあっていたお互いの声が急に真面目な声に変わる。


「・・・・邪魔しに行くようで…」


「今度、ちゃんと日程とか真面目に話そうか。…俺も、もしかしたら一時帰国とかできるかもしれないし。ボスに話してみるよ、休暇の事とか。」


「うん。私も、改めて会社のスケジュール見てみるから。」