「同じ空の下で…」

「…私は、さっきまで公園に居たんだけどね。…ま、いっか。パン買って公園に行こうか♪」

傍にある自転車の籠に自分の荷物を置いた。

「艶香、今日はチャリンコ?」

「うん。」

「せっかくだから、歩こう?駐輪場に停めてこいよ。」

「…あ、うん。…わかった…。」

瞬に促された通りに、自転車を駐輪場に停めると、またバッグを持って瞬の所に向かい、二人で並んで歩いた。

どうって事ないのだけれど、とても新鮮な感じがした。


公園の横の手作りパン屋でパンを買い込み、芝生のある木陰を見つけると、2人でそこに座った。

シュガーツイストパンを口に含むと、途端に口の周りに砂糖がついてしまい、その顔を瞬は指を差して笑っていた。

仕返しするかのように、テリヤキバーガーに噛みついた瞬の口の横にソースがついたのを大袈裟に笑ってやった。



・・・・幸せだった。



こんな他愛のない瞬間でさえ、私にとっては愛しい時間で…まるで幻の中で生きているような錯覚に陥ってしまう。



お腹が満たされると、瞬は木陰にゴロンと寝転び、私にも同じようにするように促した。


寝転んで2人で同じ空を見上げる。


空は澄みきっていて、雲がゆらゆらと大空を彷徨っている。


「…こんな風に過ごせるのも…今日が最後かもしれない。」

その言葉に、思わず身を起こしてしまった。