″強くなろう″
笑顔で談笑している、その日の瞬を見て、私はそう思った。
その日、その会の一次会が終わると私はイソイソと一人で部屋に帰った。
瞬は遥人や嘉斗やタケルや蓮などと、そのまま男同士で夜明けまで飲むらしい。
由美は翌日は仕事だったし、里奈も会社の子とBBQがあって翌朝は早いっていうし、私も何だか一人になりたかった気分だったので、好都合だった。
翌朝は、珍しく朝早くに目が覚め、規則正しく生活するかのように、朝食を済ませ、部屋の掃除、洗濯を終えるとまたプールへ向かった。
嫌な自分を洗い流すように…無心になるまで泳ぎ続けた。
飽きるまで、水の中で過ごした。
3時間くらい泳ぐと、自然にお腹も空き、やっとの事で泳ぐ事から解放され、ロッカールームへ向かう。
ロッカーの中のバッグでは、スマホがメール受信を知らせるランプと、着信を知らせるランプが交互に光っていた。
[不在着信:岡崎 瞬]
[受信:岡崎 瞬]
…無言で、それを確認し、メール本文を読まずにまたスマホを置いた。
ロッカールームから、シャワールームへ向かうと頭のてっぺんからシャワーを浴びた。
シャワーで身体を洗い流すように、自分の幼い心も弱い精神も…洗い流せたらいいのに。
