「同じ空の下で…」


「頑張って来いよ!期待しないで待ってるから!」

「ま、いつでも帰って来いって。誰もお前を責めはしないしな。」

「変な事して、ニュースで有名になって帰ってくる展開とか…ま、それも良しとするからよっ!」

「バカか。ありえねーし。」

「ま、どうでもいいから元気で頑張ってこいやっ!」

「おうよっ!当たり前だっ!」


そんな風に言い合える『男友達』って言うのを羨ましく思いながらその光景を見ていた。


海外のリゾート開発に望まれて日本人クルーとして携わるって言う…瞬にとっては、人生の内でこれほど喜ばしい出来事って無いだろう。


彼を…本来、祝福すべきなのだ。


素直に両手で万々歳出来ないで居るのは、この中ではただ一人、私だけかも知れない。

いや、この場に限らず、この世で私だけなのかもしれない。

恋情を持ってしまったせいで晴れの門出を素直に祝う事など出来ず、今この瞬間までも、この話が何らかの理由で無くなるって事を密かに願っている。


…なんて、嫌な奴なんだと自己嫌悪に陥る。

そして、その嫌な思いをかき消すように傍にあるアルコールを一気に飲み干した。


酷く幼稚で身勝手な思想を抱く自分が嫌で仕方ない…。


そして、こんな心の狭い自分は…情けない。