誰だって…そういう不安は抱えて生きてるんじゃないかな…と私は思う。
それを表に出すか、出さないかの違いじゃないのかと思う。
その日の瞬は思いのほか、やけに素直でやけに弱気だった。
そう感じてしまったせいなのか、頑張れなどと軽々しく言えない自分が居た。
「瞬、なんだって聞くし、受け止めるから、自分を信じて瞬らしく居てね?」
「艶香も、距離に負けんなよ?」
「当たり前だよ。」
少しだけ夜風がお互いの肌を冷たくし始めると、私達はどちらともなく部屋に入った。
冷たくなった身体をお風呂に入り2人で温め合い、じゃれ合い…甘い時間を過ごした。
その晩、部屋の灯りは一切つけずに、カーテンから差し込む月明かりの下で、私と瞬は戯れた。
戯れを終えると、仔猫が眠るように体を寄せ合って眠る。
互いの体温を与え合って、温めあうように…眠った。
いつもより少しだけ高く感じる瞬の体温。
それがやけに心地良くて、私はすぐに眠っていた。
この先、どんな距離が私達の間を隔てたとしても、
同じ気持ちで
空を見上げている…────。
