「同じ空の下で…」


無言でハザードを点滅させ、パーキングにシフトチェンジすると、瞬は、私の方に体を向けて真剣な顔をした。

何の合図なのかも分からないまま、私は瞬の頬を右手で触れる。

すると、どちらともなく、また、体を寄せ合い、お互いに強く抱きしめた。


「泊っても、いい?」


いつもそんな事を聞かずに、一緒に朝を迎えていたと言うのに…。

大体、週末にこうやって2人で会うって事は、それを意味するのが普通の解釈ではないのか…と、酔いが少しだけ残る頭の中で考えていた。


今夜の瞬は、どこかいつもと違っていた。


「好きにしていいのに。どうしたの?」


「…自分でも良く分からない。」

体を離し、エンジンを切ると、瞬は運転席から降りた。

続いて私もドアに手をかけようとすると、瞬が助手席に廻り、ドアを開けエスコートするかのように、私へ手を差し伸べた。

「…ありがと。」

差し伸べた手に軽く手を乗せると、瞬は私の甲に軽く口づけ、上目使いで私を見た。


思わず、私も顔が緩み、瞬に微笑みを返す。

瞬は私の荷物を持って、車にキーロックすると、手を繋ぎ2人で階段をゆっくりと昇った。