「…えっと…。」
急にそんな事を言われても…。
私は狼狽える。
「艶香は、どうしたい?」
私は…今すぐ瞬に会いたい。
この一週間、会いたくなっても、電話したくなっても、
自分を抑えた。
「あたしは…」
「・・・・あたしは?」
「じゃ、瞬は?」
「まず艶香が答えてよ。」
私は少しだけ軽く、深呼吸をした。
そして、勇気を振り絞ってみる。
「誰の迷惑も考えずに自分の意思に従うのなら、今すぐ瞬に会いたい。明日も会いたい。」
顔から火が出る思いだった。
周りに誰か居ないかと、無意識に駅の構内を見渡した。
ドキドキした心臓のせいで、上手く呼吸が出来ず、胸が苦しくなった。
苦しくなったというか、切なくもなった。
スマホを持つ手も震えて、足も…膝が少し震えてる気がして、立つのが困難でたまらなくなり、私はその場にしゃがみこんだ。
「迎えに行くから、待ってて。」
「お願い、早く来て。」
「すぐ行く。」
目の前に何が映ってるのか分からない。
恐怖以外に感じた事のない…この感覚。
勇気を出して人に想いを伝えるのが、こんなに体力を使い、更にはこんなに難しい事だなんて、感じた事が無かった。
駅名を伝えて、東口のターミナル前で待ってる事を瞬に告げると、瞬は電話を切った。
