「同じ空の下で…」


スマホを慌てて取り出すと、瞬からメールを貰ってから既に1時間以上経過していた。

急いで瞬の番号を探し、すかさず、通話ボタンをタップした。

無機質な音が右の耳に響く・・・・────。


「…おっそいぞ、艶香…。」

3コール目。

ちょっと眠そうな声でやっと瞬の声が、電話の向こうから聞こえた。


「…ごめん、寝てた?」

「…うん、まぁちょっと…落ちかけてた。誰かさんがなかなか電話くれないから。」

「ほんと、ごめん。抜けるの難しくって…。」

「…歓迎会は終わったの?」

「…ううん、まだだけど…エンドレスの予感がしたから…逃げてきた。」

煌びやかな繁華街を足早に、駅に向かって歩く。

「…そっか。まだ、終電は?ある?」

「うん、まぁ、終電まではまだ時間はあるかな…?」

「ふぅん。」


蛍光灯の灯りが少し寂しげに見える駅構内。

人通りが少ない場所を見つけると、やっとその場に立ち止まり、少しだけ息を切らせながら電話の向こうの瞬の声に耳を澄ませる。


「…瞬?」

「ん?どした?」

「…ううん、何も。聞こえてるのかなぁって。」

ほんの数秒だというのに、5分間位に感じた…お互い無言だった…妙な間。


「…迎えに、行って欲しい?」

「えっ?」

「…会うのは、明日にする?」