「同じ空の下で…」


本心はとても嬉しかった。

久々の瞬の連絡に、すこし浮き足気味になる。

ドキドキする。

バッグを抱えながら、今度は本当にトイレに向かい、洗面所で自分の顔を無意味にチェックした。

にやけてる自分の顔が、恥ずかしい。

しかも、お酒のせいなのか…少しだけ、頬が紅潮している。


いつか、鏡に映った『片思いしてる中学生』状態だった。


[Text:今、会社の歓迎会中。終わったら、私から電話するよ。]



…本当は、すぐにでも電話したい。

声ききたい。

会いたい。




その思いを…今日もグッと抑える。


返信すると、すぐさま瞬からの返事が届いた。

…暇なのかな。



[Text:了解。無理せずそちらを楽しんで~∩(´∀`)∩]





それから1時間後、やっとの事で総務課の歓迎会は終わる。


「はなぶさー!二次会いくぞっ!」

労務の主任が大声で私の名を呼ぶ。


「伊藤さん、私、今日は2次会パスです。」

「バカヤロー!2次会くらい、付き合えっ!」

その様子を見ていた香織さんは、私の肩を叩き、

「ごめん、私、このままひっそり帰るね。…迎え来てるから。じゃね!」

と、逃げる様にしてその場から居なくなった。