「同じ空の下で…」

『出演の準備をお願いします』

インカムで指示があると、同級生達に

「間もなく本番です。整列をお願いします。」

と、普段は出さないような大きな声で、指示をした。


およそ150人が一斉にザワザワと動き出し、それぞれ整列を始め、

その時を迎える。


舞台に上がる直前に、瞬がちらりと私を見たので、私は頑張れって意味を込めて軽くグーの手を瞬に向けた。

すると同じように、瞬もグーの手を私に返し舞台へと上がっていく。





舞台で踊る瞬の姿を、私は胸に焼き付けていた────。




音楽が鳴り出す前に軽く目を閉じる、瞬。

大音響がその場に鳴り響くと同時に、鋭く瞳を開眼させ、

大胆且つ、機敏にリズムに合わせて身軽に自らの身体を操り、キレのある動きで踊る瞬に見入っていた。

その場の空気すらを味方につけるその動きに心を奪われる。

彼の動きに虜になっていた。


胸がドキドキした。


当たり前の事しか言えないけど、

いつも私の前で見せるような表情とは違った瞬に、


改めて、恋をしていた────。





音響が止まると同時に一斉に動きが止まり、会場からの拍手と歓声がその場に響き渡る。

150人の人間が一斉に体勢を整え、会場に向かってお辞儀をすると、その拍手と歓声はドッと大きくなった。


『退場指示お願いします』


インカムからその声が聞こえるまで、心がどこかに飛んでいた。

我に返り、舞台の袖から声をあげる。


「退場してください。」


ゾロゾロと控室に向かっていく出演者たちの列を見送りながら、私は自然と目の裏が熱くなるのを感じた。