「同じ空の下で…」


事務所にある白い布を見つけると、新聞紙で丸められた頭を布で包み、誰が持ってきたのか…100円で売ってそうな謎のゴールドの蝶ネクタイをつけられ、だるまのようなまん丸い目を書かれて、巨大テルテル坊主が完成した。


『明日、はれますように!』


達筆で描かれたカウントダウンの右側に、天井から吊るされたテルテル坊主。
そのスカート部分(?)に、瞬は筆字で大きく逞しい文字で堂々と文字を描いた。

それにあやかるようにして、皆でマーカーで寄せ書きのようにして、色々書き始める。


私もそれにこっそり参戦して、テルテル坊主に『皆に幸あれ!』などと書き込んでみた。



「明日は宜しくお願いしますっ!」



深夜まで、作業を続けていた係を皆で手伝い、全員で挨拶して解散し、瞬と共に帰宅の路についた。


「…いよいよ、明日だな。」

「うん…。緊張するなぁ…。」

「…うん。そだなぁ…。」

「…今日は早く寝ようっと。」

「…今日は、早く部屋に行こうっと。」



そう言って、アクセルを踏むと、瞬は自分の緊張を発散させるかのように車のスピードをあげた。





そして、迎えた当日の朝は、朝日が朝から部屋に差し込み、部屋の窓から見える公園には桜の花が三分咲き程度だけど、綻び始めていた。


「テルテル坊主、でかしたぞっ!」

軽く寝癖がついた瞬が、外に向かって誰に言うでもなく大きな声で言った。