「…今日は、ありがとう!嬉しいよ、コレ!」
「…喜んで貰えて嬉しいよ。良かった。」
「…おやすみ。」
「うん…おやすみ。」
瞬の車を降りると、こんな気持ちを悟られないように、そのまま瞬の顔を見れずに部屋への階段を駆け昇った。
『部屋に上がってく?』なんて言葉も勿論かける事だって出来た。
だけど…
幸福感を覚えた数だけ、切なさが溢れてくる。
瞬と…離れたくない。
だけど…離れなければいけない。
その現実を受け入れなければいけなかった私は、『自分の気持に素直に行動しよう』なんて出来ない臆病さが自分の中に生まれてしまっていた。
恋というものが、こんなにも苦しい物に変わるなんて知る由も無かった。
ただ、一緒に居たいから
居ただけなのに。
────・・・・イベント前日。
その日はあっと言う間にやってきた。
係に携わるほとんどの人間が前日、事務所に集まった。
本番へのリハーサル。
当日の各係のスケジュール。
そしてトラブル対応の仕方。
様々な事がその場で伝えられる。
最後の打ち合わせ会議が終わると、皆で大きなテルテル坊主制作が始まった。
嬉しそうに、頭をどんどん大きく作り始めていく、瞬。
