「同じ空の下で…」


その思いを素直に告げる事は出来ない。

そんな事を言ってしまえば、きっと瞬はもう二度と私の唇に触れる事をしないだろう。


何も言えないで居る私をじっと瞬は見た。


その瞳に恐怖に似た不安を覚え、咄嗟に私は


「…早く送ってくんない?」


なんて、強がってみせる。

自分の胸の内を見透かされるようで怖かった。

言葉にできない気持ちに気付かれてしまわないように、敢えてそんな事を言うしか他に方法が見当たらなかった。


「…そだな。明日もフル稼働だしな。…早く週末来ないかな…」


私と瞬の距離が拡がり、また、車は闇を滑るように走り出す。



前方の車のストップランプが赤く光る度に、私は密かに瞬の横顔を見る。


目が合いそうになると、わざと視線を逸らした。




この1分1秒の想いを積み重ねていけば

離れていたって

今と変わらない気持ちで、

貴方と繫がっている事が可能なのだろうか…?


言葉で繫がっていられるのだろうか…?