「…じゃ、ごめん、今日も先に失礼します…。」
「…うん。ほんと助かった。」
力なく笑うタケル。
申し訳ない気持ちになりながら、自分のアウターとバッグを持つと、事務所を後にした。
結局、瞬へのプレゼントの渡し方なんて、考える時間すらなかった。
仕方なく…車の中で、瞬にそれとなく話を振る。
「瞬?」
「…ん~?」
国道沿いを車で走りながら、瞬は前を見据えたまま返事をする。
瞬のお気に入りの洋楽が、かすかに耳に入ってくる。
その曲を何度も聞いてるのか、少し口ずさみながら運転を続ける、瞬。
「…渡したい物があるんだ。」
「…ん?何?」
「少し早いけど…」
そう言いながら今日選んだ瞬へのプレゼントをバッグの中から取り出した。
あれこれ瞬が喜びそうなシュチエーションを考えつつも、結局はストレートに渡す形しか、浮かばない。
「…自分の部屋に着いたら、開けてね。大した物じゃないけど…。」
瞬の腿の上に袋のまま置くと、私は流れる様に走る窓から見える景色に目を移した。
「…はっ?」
歌うのを止めて、やっと瞬は私の方を見る。
「かなり…早過ぎだけど、バースデープレゼントだから、気に入ったら使ってね?」
「…おいおい、なんだ、そりゃ…。」
ハザードを点滅させると、車は急に路肩に停まった。
