「同じ空の下で…」


「明日、イベント用の衣装が届くんだ。少しここも狭くなるかもしれないな。」

「そうなんだ?」

「その検品もあるし、サイズ毎、男女別毎に分ける作業が明日から始まると思うから、こっちの手が空き次第、艶香にはそっちに廻ってもらってもいい?」


疲れ気味なのだろうか?

少し痩せて見えるタケルの目の下にはクマが見える。


「…わかった。けど、タケル、大丈夫?なんか、疲れ気味じゃ…。今の仕事、一人でこなせる?」

「俺の事は気にしないで。大丈夫、慣れっこだから。」

柔らかい笑顔にはいつもの活気が見当たらなかった。


心の片隅で、タケルの事を気遣いながら、自分のPCに入力作業を始めた。

少しでもタケルの負担を軽くする為にも、私は私で与えられた事を頑張らなくちゃいけない。

…瞬との恋に、うつつを抜かしてる状況じゃなかったな…。


その日は、休むことなく、私は事務所での仕事に没頭した。



「艶香、送るよ。」


いつものように、瞬が現れると、私はタケルの横にUSBを静かに置く。


「…とりあえず、自分の量はあとちょっとで終わるから…。」

「…ん。ありがとな。」

「…タケルの分も、私にまわしていいからね?」

「…じゃ、明日また指示する。ほんと、感謝です。」