「同じ空の下で…」


私の部屋にはまだ着く気配もなく、むしろ、遠回りをするように車は走って行き、信号待ちに差し掛かる度に瞬は同じ行為を繰り返す。

無言で私もそれに応え、軽い遊びを楽しむように、お互いに口角をあげて笑いながらキスを交わした。


1時間くらい経過した頃、やっと自分の部屋が見えてきて、瞬は車を停める。


「…泊ってもいい?」


車を停め、目を開いたままキスをする瞬は、唇を離すと刹那的距離感で私に問う。

その問に私は素直に頷く。




2人で車を降り、階段を上り部屋に入る。



アウターを脱ぎ、それをクローゼットに掛けていると、私を後ろから抱きしめてくる瞬。

驚く事もなく、まるで予想していたかのように回されてくる腕に私は自分の手を重ねる。

瞬は、そのまま私の頬に…うなじにキスの嵐を浴びせてくる。

首筋にあたるその温度に思わず体が仰け反ってしまう。



「・・・・瞬、どうしたの?」

今からなにが始まるのか分かってる癖に、敢えてその行動に疑問符を投げかけてみる。


「…めちゃくちゃ寂しい気分…。」

瞬は私の頭に顔を埋めながら答える。


「…どした?」

予想外の答えに私も少し戸惑ってしまう。


「…離れたくない。」





その時、瞬の心の奥の本音というか…瞬の弱さを垣間見た気がした。