「なぁ、タケル。」
「…ん?」
スマホをしばらくいじっていたタケルがふと、顔をあげて瞬の顔を見る。
「俺居ない間、艶香の事、頼んだぞ?」
その瞬の言葉を聞いて、出された水を思わず吹き出しそうになる。
「…しゅ、瞬、何を急に言い出すの?!」
私は口を慌ててハンカチで拭きながら、瞬の顔を見た。
「だって、艶香の事、心配だから。どうすんだよ、変な奴が付きまとったら。自分で退治できるか?」
瞬は少し厳しそうな顔で私を見る。
「そだな、分かった。」
「た、タケル!なんであんたもすんなりそんな事言うの?!」
「艶香の事は全力でお守りします!」
「頼んだぞ!」
「いや、変だって。何言ってんの二人とも!」
そんな展開になって私はどうしたらいいのか訳も分からず…目を泳がせた。
「…艶香、何かあったらタケルに言えよ?俺、本当に心配して言ってるんだぞ?」
「…大丈夫よ、私、こう見えても…大丈夫なんだから。」
「根拠のない見栄はるなよ?」
「タケルまでそんな事言うの?!なんで、今日は二人してそんな意地悪なんだろ?!」
何かを見透かされてるような顔で私を見る2人に、私はそれ以上何も言えなくなる。
「…ま、何もないのが一番だな。」
「…うん、何もある訳ないし。私は大丈夫!」
「俺的には、ヒロっていう幼馴染とか、すごく心配なんですけど?」
「バカね、ヒロは既婚者だし、あり得ないわ。」
