「お疲れっ!散らかってるけど……適当に座って。今店に連絡して、テーブル席開けといて貰ったから♬あ~腹減った…。で、仕事は無事片付いてんの?」
助手席をタケルに譲り、私は後部座席に座った。
大きな体のタケルは、助手席のシートを少し倒すとタバコに火を付ける。
その動作とほぼ同時に瞬の車は走り出した。
「私は何とか……。タケルは、完全に作業放棄しちゃった。」
「今日はもう、無理。頭ん中…もういっぱいいっぱいだ。」
いつも真面目なタケルにしては珍しい位、今日は作業が進んでなかった。
タケルにもそんな時があるんだなぁ…と、少し親近感を覚える。
「…許容範囲超えたか…。」
「まあね。」
「……そうゆう時ってあるよね。だから、今日はタケルはアルコールに逃げるみたいよ、瞬。」
「…いいんじゃね?何なら艶香も飲めばいーさ。」
「あたしは…いいよ。瞬だけ飲めないなんて申し訳ないし…。」
「この場に及んで遠慮はいらないから、艶香、タケルに付き合ったらいいよ。俺に気を使うとか…やめろよ。」
バックミラー越しに瞬は私に言う。
タケルも
「艶香、じゃ飲もう!一杯付き合って?」
なんて言い始めた。
仕方なく私も
「じゃあ、一杯ダケね?」
と返してみる。
