その音が鳴りやまないうちに、また、着信音が、その甘美な空間に響き渡る…。
「…艶香、タケルが呼んでるよ・・・・?」
「…出ないの?」
「あと…6分53秒・・・・こうしていたいから、出ない。」
私を包み込む腕に更に力を込めると、私の頭に瞬は顔を埋めた。
それは、私も同じ気持ちで、電話が鳴ろうが何があろうが、この状況から離れたくない自分がそこに居る。
温かい腕にいつまでも包まれていたい。
それは、人間の本能なのかもしれない。
幼い子供が母の温もりを求めるかのように、今の私は瞬の温もりをいつまでもこの肌で感じて居たかった。
「あと…6件だったよ。」
「…ん。そうだな、確か、その位で…終わりだな…」
「私たちなら・・・・・・一日あれば十分だね・・・・」
「それとも、あえてあと6日かけるか・・・・」
「…それは、わざとらしい気がするけど・・・・」
「・・・・じゃ、1日で終わらせる?」
「ううん・・・・それは嫌…」
「・・・・・わがままだな、艶香…」
ほんと、そうだ。
私ってわがままだ。
いつまでもこうして居たいとか…
貪欲だな、私…。
