「さむーいっ」
3月も半ばだというのに北陸のまだまだ冬に思える寒さに私は身震いした。
私、山城 絵奈(えな)は今年晴れて大学生になる。
地元から離れて今日から一人暮らし。
「絵奈ー。
荷物も片づいたしお父さん帰るぞー?」
「あ、うん。えっと、…ありがとね。」
畳んだダンボールと車の鍵を持って靴を履くお父さん。
お父さんとお母さんは私が小さい頃離婚して、私はお母さんに、引き取られた。
でも喧嘩ばかりで上手くいかなくてよく家出してた。
見かねたお父さんが私を去年引き取ってくれたけど、10年も離れてたから気まずくて一人暮らしをしたいと言った。
希望大学に受かったときはいろんな意味で安心した。