「おつかれ、マナミ」

昇降口で靴を履き替えていると、背後から声をかけられた。

「あ、お疲れ様でした!千尋先輩!」

千尋先輩というのは、1つ上のホルンの先輩である。


「ガードは今日も鍛えられてたみたいね」

「あはは…足腰ガックガクですよ…」

私たち吹奏楽部は座奏だけでなく、マーチングにも手を出している。

マーチングは、主に3つのセクションで構成されており、ブラス、ドラム、そしてガードがある。

ブラスは管楽器や金管楽器を吹き、ドラムは鍵盤楽器や打楽器を担当する。

そしてガードというのは、フラッグ(大きな旗)やライフルなどの手具を使ってマーチングに華を添える、ダンサーのようなものだ。