「……判りました。あなたに依頼させて頂きましょう。」
「いい判断だっ!俺に決めた事、後悔なんてさせねーから安心しなっ!」

 目の前の男の口から正式な依頼の言葉が出た事に思わずガッツポーズが出る。

 久しぶりの大きな仕事だ。しかも男の身なりからしてかなりいい金になりそうな予感がする。

「予想していたより随分と幼い外見の方でしたのでどうしたものかと思いましたが、自信はおありのようですし、こちらもあまり時間がありませんので……致し方ありません。」
「…………はぁっ!?」

 これで暫くはまともな生活が出来ると内心ほくそ笑んでいたら、男の口から聞き捨てならない言葉が飛び出した。

 確かにユーリは身長も165cmと小柄で童顔だ。色素の薄い茶色の髪と明るい赤茶の瞳が更に見た目の年齢を引き下げている。

 けれど小柄な体型は敏捷性に優れているし、子供っぽく見られる外見は不本意ではあるが情報を仕入れるのには向いているのだ。人の仕事ぶりも知らないような奴に馬鹿にされる覚えはない。

 ユーリは相手が依頼人という事も忘れて、思わずコメカミもひくつかせながら言い返していた。

「見た目と仕事の腕を一緒にすんじゃねーっ!!!」

 目の前のテーブルを力任せに叩きながら男を睨みつける。店中に響き渡る程の大声で怒鳴り散らしたユーリをさして気にする様子も無く、ただ機械的に男は頭を垂れた。

「それは失礼致しました。ではそれ程までにおっしゃるあなたの腕を見込んで、正式に依頼内容をご説明致します。」
「……おう。」
「では場所を変えてお話を続けさせて頂きたいのですが、便利屋さん。」

 周りからの注目にも臆する事無くサラリと話の筋を戻し歩き始めた男の言葉に頷き後に続こうとしたが、自分への呼び掛けにユーリはピタリと足の動きを止めた。

「どうかなさいましたか?」

 その場に立ち止まったまま微動だにしないユーリに男は振り返る。

「おい、あんた。」
「はい?」

 ユーリは男に対しニヤリと笑みながら言った。

「俺は便利屋じゃねぇ。」















 俺は盗み屋――――――















「盗み屋のユーリ・ゲイクだ!!」