「あ、暁さん帰ってきたよ」
月原に言われて顔を上げる。
「紫音ーちょっと」
「ん?なんだ?」
「これ、お前にやる」
「え、良いのか?ありがとう!」
チケットを受け取って満面の笑みを浮かべる紫音に嬉しい気持ちになる。
「誰かと行って来いよ」
「んー、凛人」
「ん?」
「いや、だから凛人と行きたい」
・・・・・・はい?
俺は友達と行けっていうつもりで渡したんだけど。
「…俺でいいんなら」
「やった!こういうのデートって言うんだよな」
唐突に飛んできた言葉に頭を打ったような衝撃が走った。
・・・デート。
確かにそういうことかもしれない。
「じゃあ日曜日に行こう。駅前に10時でどう?」
「あ…良いよ」
そう返事を返すと紫音は嬉しそうに自席に戻っていった。
――― そっか、デートか。―――
「凛人顔真っ赤wwww」
「……うっさい」
「ま、頑張れよ~」
日曜日、早く来ねぇかな……。