警官の制服、その懐から煙草を取り出して徐に口に咥える。

「あっ、藤田警部…現場保存の為にここでの煙草は…」

「堅い事抜かすな」

警官の制止も振り切り、藤田は煙草に火を点ける。

胃の奥から込み上げてくる酸いもので、ムカムカしていた。

煙草でも吸わなければやっていられない。

それでも若い警官のように現場から目を逸らさないだけ、藤田の胆力は大したものだった。