殺人鬼と壬生狼。

対峙したまま、空気のみが張り詰める。

藤田は、ジャックの得物が何なのか今だ分からぬままだった。

コートのポケットに収まる大きさとなれば暗器の類か。

しかし胸の傷を見る限り、切れ味は銘刀にも劣らぬ。

大きさに侮っていると、致命傷を受けるシロモノである事は間違いあるまい。

迂闊に間合いに入る事は、死を意味した。

それでも。

「新撰組隊規」

藤田は言う。

「士道に背くあるまじき事…敵前逃亡は士道不覚悟!」