夜。

警官の集めた情報を照らし合わせながら、藤田は麻布警察署の一室で溜息をつく。

東京府下中の医者の情報が集められていた。

見かけによらず、情報収集能力には長けているようだ、あの五等巡査。

が、残念ながら全てシロ。

彼の集めた情報の中に、下手人らしき者はいない。