あんたの隣はあたしだから






「日向くんのことどう思ってる?」





日向のこと……………?




あたしは、家族みたいと思ってるよ。



あったかい壊れることがない


絆がある家族しか思ってない……。




「家族だよ……」



あたしは、そう言うと「でも」と

付け足した。



「家族みたいな日向がほかの人と付き合ったら、温かく見守らなきゃいけないのに


あたし、辛いみたい。

日向といれなくなる気がするから」



いつのまにか、涙があふれていた。




日向といれなくなったらどうしよう。





あたしにとって日向はこんなにも大きな存在なんだ────…………。






「柚希大丈夫だから」


佳奈が真剣に言った。


「なんでぇ?」



「日向くんにとって柚希は、

かけがえのない存在だから」



「………え?」



「だから絶対離れたりなんかしない!」


力強い佳奈の声は、あたしの気持ちを和らげた。




「ヒック…………ぅん」


再び泣き始めた。


「よしよし」


背の小さい佳奈は背伸びして

あたしの頭を撫でた。



「応援席行こ。柚希」


「うん。目赤くない?」


「大丈夫」



そしてあたしたちは、応援席に帰った。












とりあえず






日向のこと恋とかないのかも。



でも



誰にも渡したくないよ……。