「てめえには、助けてやった借りがあるはずだが?」 先輩の指が、つかんでいたドアノブから私の手を引き離す。 「…っ」 途端、その指が自分の指へと絡まり、私は反射的に先輩の手を払いのけた。 もうそこに、つい先ほどまで女たちに振りまいていた王子様スマイルはない。 あるのは朝にも感じた、獣のような荒々しい雰囲気だけ…。 本当の九条先輩は… 一体どっち…?