顔を上げると、こちらを悲しそうに見つめる陸人さん。 「やだ、すみません…私ったら泣いて…ごめんなさい。」 せっかく使用人さんにお化粧してもらったのに。 私はハンカチを受け取る。 涙を拭き取り、再び陸人さんを見て無理やり笑顔を作る。 「睦月様は…九条のことが好きなんですね。」 「……」 だが、必死で浮かべた偽りの笑みは、一瞬で曇ってしまった。 「はい…そうみたいです。」