*

目の前に広がっている青い空。

イヤホンから聞こえてくる音楽。





学校の屋上でフェンスにもたれかかり、

お気に入りの曲を聴く。




 「ねむっ・・・」




青いベンチに寝転び、空に手を伸ばす。

雲ひとつない快晴。


体育の授業中なのか、グラウンドからは騒がしい声。




 「お前って、ほんと自由人だよなぁ」

 


視界に入った男の顔。

俺はイヤホンをはずした。




 「隼人、お前なんでここにいんの?」

 「お前と一緒」

 「優等生さんが、めずらしいねぇ」

 「うっせ」




幼馴染の神谷隼人。

“サボり”なんて似合わないこいつが

授業に出ないなんて何かある。




 「で、用件は?」

 「何が?」

 「俺に何か言うことがあったんだろ?」

 「おっわかってるねぇ日向くん♪」




隼人は俺の座っているベンチの隣に座った。



 
 「いやー俺もね、どうかと思ったのよ」

 「何が」

 「日向に悪いなぁと思ったんだけど・・・」

 「だから何がだよ」




隼人はニヤリと笑って言った。




 「お前、今日からクラス委員だから」

 「はぁ?なんで俺?隼人お前―――・・・」

 「だって俺も、連続クラス委員はヤダし」

 「でもなお前っ・・・はぁーもういいや」

 「え、やってくれるの?」

 「やるわけねぇだろ」




隼人をどかして俺はまた、

ベンチに寝転がりイヤホンを耳につけた

そんな俺の様子を見て呆れる隼人。




 「とにかく、一度でいいから教室に来いっ」

  


音楽と音楽に混じって聞こえる

隼人の声を耳に俺は目を閉じた。


*