舞う蝶と聖なる龍2

…あれ?


今すれ違った人…。


「八尋。あの人、薬やってる」


八尋の服の裾を引っぱり、その人を指差した。


「えっ?」


「薬のにおいがした」


あの独特な嫌なにおい…がね。


他の人には、一般人にはわからない匂い。


だけど裏の世界にいる私からしたら、ほんの少しの匂いでも感じることができる。


「潰すか」


「うん」


さっき公園で着替えたしね。


こういう日のために、いつも持ち歩いてる。


私は男装ではなく、女の姿。