「あの…」
「何だ」
私は、成田大翔に話しかける。
「あの…手」
そう。なぜかあの後、強引に繋がれたのだ。
「お前、俺の女だろ?」
え、違います。ていうか、私許可出してないし。
「……私、いいって、言ってません」
わがそう言うと、成田大翔はピタっと止まった。
響くのは、無機質な雨の音だけ。
すると、グイッと腕を引っ張られた。
そして、成田大翔は持っていた傘を落とした。
…ん?
「あの…」

「…っんっ!」

いきなり、キスをされた。
え、何で……! 嫌だよ……。
「んんっ…」
ど、どうして……。
キスはどんどん激しくなり、ついには。
「んっ……ぁっ」
舌が入ってきた。
や、ヤダっ……。
私は、成田大翔の舌を思いっきり噛んだ。
「って!」

ハァハァ…、苦しい。
どうして…? 何でキスしたの?
「何で……っ」
今の私には、それ以上、何も言えなかった。

「………」

何で、黙ってるの⁉
……、そっか。あんなの、挨拶みたいなものなんだね。成田大翔にとって。
ファーストキスだったのに……。

「…嫌い。大キライ!」