学園王子は偽カレ⁉

わかってたのに。


神様はイジワルだ。



「…っ違うよっ。私が、気分悪くなったから、…湊くんが……」


私は、少しだけ成田を見た。



成田は、そっぽを向いていた。




私は、なんてバカなんだろう。


成田は、胡桃ちゃんが好きなのに。



「ふーん♪ 柴咲くん、優しいねー」



胡桃ちゃんは、何かを感じとったのか、不適に笑う。


「…………」



湊くんは、また、何も出さない湊くんに戻ってしまった。


「…ま、いっか‼ 成美、バイバーイ!」




笑顔で振る舞う胡桃ちゃん。






…可愛いなぁ。



「湊くん、だいじょ…っきゃ!」


大丈夫? と言おうとしたが、できなかった。



だって…



私は、なぜか湊くんに包まれてるから。






「湊くん…?」


「俺さ…」



私は、黙って話を聞こうと、抵抗してたのをやめた。




その時ー……



「成田、行くぞ」



私の心は君で埋め尽くされていた。


あの日。



あの日の、声が聞こえたの。



「…なっ、成田⁉」



大翔、なんて呼べないから。


今更、呼べない。



「成田っ⁉ 離してっ……」


足が速い成田に引っ張られたまま、ただただ、廊下を走る。




離して…お願いだから。




離して…っ。




「…………」


無言のまま、成田は離してくれた。





「成田、もう……関わらないで」




やっと、言えたの。




本当は大好きなのに。




こうするしかないの。

大好きなのに、離れなきゃ。




ごめんね、大翔。



私は、いつもあなたでいっぱいだった。



だからせめて、恩返しをしたいな。




「…成田っ、…私の心をいっぱいにしてくれて、ありがとう…っ」



まだ言えてなかったありがとう。



…大好きだったよ。