あれから、私の日常は平穏に戻った。
でも、あれから、連都くんの様子がかなりおかしいんだ。

「成田、ここ何?」

あれ以来、連都くんはやけに話しかけてくる。
だから、私の休み時間や昼休みは、ほとんど減りつつある。

「ここはね……」

まぁ、話しかけられることは、大体勉強のことだけど。
でも時々、
「彼氏と別れたの?」
とか、触れたくないところまで聞いてくることがあるから、連都くんはちょっと苦手。


「来週の文化祭の準備を行うが、我々のクラスはメイド喫茶をやることになった」
えー…それ、定番じゃん……。
てか、めんどくさい。
「いきなりで悪いが、成田! お前、メイド決定だ」
…はぁ? なんで私だけ決定になってんの‼
「え、嫌です!」
私は先生に訴えた。でも、先生は変えてくれなくて……。

「…で、成田の執事は柿園だ」
てか、執事ってなんなの!
てか、何で連都くん?


「成田、頑張ろうな!」
連都くんは、何故かやる気満々だった。
私は全然やる気出ないー!
と、こころで訴えるものの、誰も気づくはずがなく……。


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ーーーー

「成田」
私が教室を出ようとしたところ、連都くんに呼び止められた。
「何?」
「あー…歩きながらでいい」

…それって……私と連都くんが一緒に、帰るってことだよね…。

いいのかな。…連都くん、彼女いそう。

「成田はさ、…まだ、大翔のこと好きか?」
……! その質問は……答えにくい。

「っ何で?」
私は必死に冷静を保ちながらそう言った。
すると連都くんはピタリと止まった。
「……?」
私が連都くんのところに駆け寄ろうとした時……温かい何かに包まれた。
「っえ…?」