学園王子は偽カレ⁉

「ごめん、ごめんー!」
私の手を引いた胡桃ちゃんが待っている男子に向ってそう言った。

「おせーよ。……成美、寝坊か?」

…大翔が、そう言った。
どうして? …どうして、何もなかったようにできるの?
「……うん」
だって、大翔は私のこと好きじゃないしね。
……そうだよね。

「大翔…ちょっといい?」

修学旅行中に別れ話はしたくないけど。
てか、付き合ってないし。仮、だし。

「…大翔、なんで?」

泣くのを我慢して、大翔に問いかける。
「どうしたんだよ」
大翔にとって、キスなんて、当たり前なんだ。
減るもんじゃ、ないんだもんね……。

「どうして、私を仮の彼女にしたの?」

「………」

大翔は、何も答えなかった。
ああ、答えは見えてる。いいんだ。
大翔は、いいんだ。
「……ごめん。別れたい」
私ばっかり、好きなんて、嫌だ。
せめて、私だけを見てくれる人と、一緒にいたかった。

「……俺と別れるなんて、許さねぇ」

今まで黙ってた大翔が、いきなり言ったかと思えば、今度は抱きしめてきた。