「成美…」

いきなり祐樹に名前を呼ばれたから、びっくりした。
「な、何?」
普段は、私が祐樹をバカにしてたのに、こういう時は祐樹に負けちゃうんだよね。
「こいつ、誰…?」

えと……これはどう答えたらいいのかわからない。
だって、付き合ってるって言っても、私と大翔は仮の関係だし……。
でも、付き合っては、いる。
「誰?」
また祐樹が私に聞いてきた。
まぁ、とりあえず、こう答えよう。

「彼氏…デス」

何だか、今の祐樹にタメで話すのは…ちょっと勇気がいるかな。
私は恐る恐る祐樹を見た。
すると祐樹は、とても怖い顔をしていた。

「てめぇこそ、成美の、何?」

今度は大翔が食って飛びかかる。
うわ、ちょっと、うちの前でケンカしないでよ。

「幼なじみ…つぅーか、大事な奴?」

え? あ、そうだよね。
幼なじみだもんね。
私は、大翔を見つめた。大翔、気づくかな。
すると、私は急に後ろから抱きしめられた。
え、ちょ…。
「ゆ、祐樹⁉」
私は必死に抵抗した。でも、やっぱり男の子の力は強かった。

「んっ!」

私は耳を噛まれ、反応してしまった。
「おい、離せ」
今まで黙っていた大翔がまた食って飛びかかる。
「……祐樹! 離して!」
我慢ができなかった私は、思いっきり叫んだ。
そしたら祐樹は、離してくれた。

「大翔、送ってくれてありがとう」

私は笑って見せた。
大好きだよ、大翔。
ずっと、大好き。