「♪〜♬…」
ん? 誰だろう。
ケータイを見ると、成田大翔だった。
え、どうしよう……。
迷いながら、結局出ることにした。

「もしもし……」

私はドキドキだった。
約束をすっぽかしたから。

「…お前……。今どこだ」

と来た。こ、答えなきゃいけないかなあ。
……やっぱり、答えなきゃ失礼だよね。

「教室…」

私は恐る恐る答えた。
何て言われるんだろう。怖くてたまらない。
「…わかった」

え⁉ これだけ⁉
まあ、いっか。
ふと、時計を見た。え⁉ もう18時!
やばい、早く帰らなきゃ。
私は鞄を持ち、急いで教室を出る。
その時。

グイッと、私の腕は自由をなくした。

「え…」

私の腕を持っていたのは、…成田大翔だった。
「…待て」
「や、離して! 今から帰るの!」
私は必死に抵抗した。
でも、男の子の力に勝てるわけもなく。

「送る…」

あっさり成田大翔に送ってもらう形になってしまった。