「成美?」
また、優しい言葉が聞こえる。
「祐樹」
この人に甘えちゃいそうになる。
でも…でも、私は強くなるって決めたんだ。
もう、祐樹に頼らないって、決めたから。

「成美、無理すんなよ? 俺が、聞くから」
そうやって、優しいから。
私はいつも祐樹に甘えてしまう。
でも……。
「言って?」

いいのかな。今更だけど、いいのかな。
と思いつつ、私は閉じた口を開ける。

「私、バカだった。優しくしたのは、全部間違いだった……」

私は、すべてのことを話した。

彼女にされたこと。キスされたこと…。
そしたら祐樹、何も言わなくなった。
「祐樹…?」
すると、突然抱きしめられた。

「祐樹?」

でも、それはとても優しくて。
あんなにバカだと思ってた祐樹は、今は何だか優しくて、少しだけ大人に見えた。
「…ごめん、成美。守ってあげれなくて、ごめんな?」
…嬉しい。やっぱり、祐樹は私の大事な幼なじみだよ。

祐樹、私の悩みを聞いてくれて、ありがとう。
ありがとう。

私、やっぱり成田大翔が嫌いだよ…。