「泣かないんだ」 ……またそれか。 「咲羅なら、泣くかと思った」 「……何で?」 「衣咲のこと、考えてたから」 ………。 「泣かないよ。それに、衣咲のことなんか、考えてなかったよ」 「じゃあ、何考えてた?」 私は、千尋の方を見ないで、再び空に、目を向けた。