ブラザーズ~青い空へ~

『凛太郎くんなんで泣くんですか?おむつも替えたしミルクも飲んだじゃないっすか。君は何を訴えているの?パパにはわかりませんよ。ごめんね。千佳!無理。泣きやんでくれませんよ』

『眠たいんじゃない!はい!おいで凛ちゃん!』

『眠たいか。俺の抱き方では眠れないんすかね。ごめんな凛太郎』

あー俺も眠たいんですけどね。そろそろチビ達が寝る時間じゃねーか。

『おい!ゲームに夢中の弟君達!時間を見てますか?ゲーム片付けなさいよ!寝る時間ですけど』

『まだ21時じゃないじゃん!』

『僕は寝る!慶太郎兄ちゃん! おやすみなさい!』

『はい!おやすみ!龍!おい!虎!あと5分で21時だぞ!片付けなさいって言ってるんだけどお前はまた言う事聞かないのかな?お尻叩かないと出来ないのか?』

『いやだー!片付ければいいんでしょ!』

『出たな。逆ギレ。想史郎!お前もだよ!』

『うん!虎!片付けようよ!』

『慶太郎兄ちゃん!抱っこしてよー!』

『はいはい。虎!明日はサーフィンだな。楽しみ?ユズルお兄ちゃんは上手だからね』

『うん!楽しみ!僕ねー空手もやりたい!』

『慶太郎兄ちゃん!おやすみなさーい!』

『はい!想史郎!おやすみ!虎もお部屋行くよ。なんで空手もやりたいの?』

『強いとかっこいいじゃん!ツバサくんが空手習うんだって!僕もやる!強くなってやっつける!』

『誰をやっつけるの?空手は喧嘩をする為にやるんじゃないんだよ。スポーツなんだからね。まあ俺が言える事じゃないんだけど。とりあえず今日は寝なさい。はい。おろすよ。お布団入って!おやすみ!虎!』

『うん!おやすみなさーい!』

『龍!何やってんのよ!早くお布団入って!』

『待って!エンピツ削ってなかったの。慶太郎兄ちゃん!抱っこして!』

『はいはい!おいで!龍!お前は本当に受験するの?』

『うん!するよー!ユウトくんと同じ中学校行こうって約束したもん!』

『あーそう。まだ龍は2年生で洋服だってお姉ちゃんに準備してもらってるのに大丈夫ですかね?はい!お布団入って!おやすみ!龍!』

『おやすみなさーい!』

『想史郎!電気消すよ!お前学校のお友達に転校するってちゃんと言った?もう1ヶ月ないよ。大丈夫?』

『うん!言ったよ!あのねー夏休みになったら遊びに来てもいい?僕ん家はお金持ちなの?』

『なんで?普通だよ。なんか言われたの?』

『だって想史郎はお金持ちのお家にもらわれていいなって言われた。服も髪もかっこよくなったって女の子にも言われたよ。かっこいいお兄ちゃんが毎日送り迎えしてくれて急にお金持ちになったって』

『お金持ちじゃないって言っときなさい。お前にお小遣いだってあげてないよ。普通だって言うんだよ。それに想史郎はもらわれたんじゃなくてお前は自分の家に帰ってきたんだ。二学期からは新しい学校でお前の名前は高見想史郎なんだよ。難しいけど戸籍上もお前は俺達の兄弟だって証拠がちゃんとあるんだ。わかる?お前にはお母さんがいてくれたからお母さんと住んでたけど元々お前の家はここなんだよ。俺達のお父さんはみんな同じお父さんなんだからね。悠達や想史郎も。もちろん俺や慎二郎もみんな親父は一緒なの。わかるか?だからお前は帰ってきただけだ。もらわれてないんだよ』

『うん!わかった!でも夏休みになったら遊びに来たいって。いい?』

『いいけど電車で来て帰れるの?まだ4年生だしこんな遠くまで来たら親に怒られるんじゃないのか?校区外どころじゃないんだからね。ちゃんと親の許可がないとダメだよって言っときなさい。はい!遅くなるから寝なさいよ。おやすみ!想史郎!』

『わかった!おやすみなさーい!』

なんだよ金持ちって。いじめられてんのかよ?そんな感じはしないけど想史郎がいじめられている事に気づいてないだけか?まだ4年生だけどいじめなんかあるのかよ?微妙だな。想史郎は早生まれだから小さいしむしろ3年生の幼さレベルだ。しかも食わしてもらってなかったから余計小さいのかな?悠!龍!虎!はいじめの心配なんかした事ねーんだけど。まあ龍達はまだチビだし友達がいっぱいいるから心配しなかった。悠はいじめにあうはずがないだろうし俺も複雑な環境で育ったわりにはいじめとは無縁だ。むしろ俺は1人を好んだし近づくなオーラを出していたのかもな。休憩時間も受験勉強をしていたしたまに喧嘩になれば喧嘩もしたから邪魔する奴はたまにコクってくる女ぐらいだった。まあ冷たくあしらっていたけどね。今思えば悠以上にクールなくそガキだ。はぁー想史郎は大丈夫なのか?虎より想史郎が空手を習ってほしいぐらいじゃねーか。虎なんかやんちゃなんだから空手なんか覚えたら喧嘩に使うに決まってんだろ。あいつも俺に似てるんだからな。あー仕事しなきゃいけねーのに悩み事が増える一方だ。龍は受験するってまだ言ってるし。1年立てば忘れてるかと思ったんだけどな。友達の影響ってデカイですね。

『慶兄!入るよ!俺寝るから!おやすみ!』

『おう!悠!お前いじめられてないよな?』

『はあ?俺が?ありえないでしょう。やられたらやり返すけど。いじめる事もないし!そんなめんどくせー事俺は嫌い』

『ですよね。君は俺にそっくりだからな。わかった。おやすみ!悠之心!』

『想史郎?まあ俺の弟だって言っとくから大丈夫だよ!おやすみ!』

お前は頼りになる兄貴だな。早く転校させりゃ良かったか?確かに見た目はがらっと変わったよね。金持ちと言うより以前が酷すぎただけだろ。穴があいていたりしたわけだからな。送り迎えだってしなきゃしょうがねーんだよ。想史郎が何回も乗り換えて電車で通えるわけねーんだから。楓にフェラーリ乗せたのがまずかったのか?ガキに車なんかわかるわけねーだろ?悠だっていくらするもんなのかわかってねーんだし。いや俺ん家は元々おかしいんだから悠は対象外か?今さら車かえたら逆にまたなんか言われるのかな?あーもう早く一学期終わってくれ。悠が小学校に通ってる間に友達を作ってくれたらいいんだけどな。来年は中学生なんだから悠は同じ学校にいないんだからね。あーそろそろ拓海が家庭教師終わるな。風呂に入れなきゃいけねーじゃん。俺は入ったんですけどね。拓海はなんであんなに幼いんだ。大学行っても心配だぞ。まだまだガキすぎる。