ブラザーズ~青い空へ~

『ただいま』

『おかえり!慶太郎!ご飯食べるでしょ?』

『うん。チビ達はみんな家庭教師の先生と勉強してる?』

『うん!してるよ。ご飯準備するからちょっと凛ちゃんお願い!』

『はい。凛太郎!ただいま。今日はご機嫌ですね。俺がパパだってわかってるか?頼りないパパでごめんな。拓海は?あいつも家庭教師21時からなんだけど予備校からちゃんと真っ直ぐ帰ってくる?』

『うん!帰ってるよ。なんかテストがあるからってお部屋で勉強してる。最近頑張ってるよね!』

『そりゃあ頑張ってもらわないと受験まで1年ないんですからね。じゃあちょっと声かけてくるかな』

今日のお仕置きは悠之心だけかな。難しい年頃が近づいてますからね。

『拓海!入るよ!』

『うん!慶太郎にーちゃん!おかえりー!』

『頑張ってるようですね。模擬試験も近いだろ?』

『うん。まあーねー。俺ちょっと偏差値的にキツイかもー。慎二郎にーちゃんと同じ鵬星でもいいじゃん!そこなら俺受かる自信ある!』

『海斗くんと螢桜で会おうって言ったのは誰だっけ?気合い入れてやろうか?』

『嫌だ!俺だって頑張ってんだよー!』

『お前はやれば出来る子なんだけどな。鵬星でいいやって気持ちは捨てなさい。保険があるからお前は手を抜こうとするんだ。お前が本気になれば大丈夫だよ。お前は努力が出来る子なんだからな』

『わかったよー!頑張る!でも俺波乗りは行くよー!偉大な自然にパワー貰って充電したいからねー!』

『あー。それで頑張れるなら行けばいいよ。俺も行ってて受かったからな。じゃあ頑張れよ。邪魔したな』

『うん!わかった!』

海斗くん。君も頑張っているんだろうね。君は大丈夫かい?俺が出来る事なんてきっとないんだろうけど君の人生が喜びに満ちているよう俺は願っているよ。

『悠!ちょっと来なさい。俺の書斎に』

『はい』

『今日も家庭教師の先生と宿題はやったんですか?』

『やりましたよ』

『そう。君の先生が来てくれる時間は19時30分ですよね。君が来て欲しいって言ったから今も続けているよな。今日も飯は食えたらしいですけどギリギリだったみたいですね。何でですかね』

『門限過ぎてすいませんでした』

『お前は本当にすいませんはすぐ言うけど反省してると思う?』

『まあいちお』

『いちおか。門限過ぎたんだからお仕置きだってわかってるよな?』

『はい。わかってますよ』

『じゃあズボンおろして尻出せ!』

『え?やだ!竹刀じゃないの?たかが門限じゃん!うわっ!ちょ、待って!いってぇ!痛い!っぐ、痛い!いった!っく、ごめんなさい!っく、すいません!痛い!痛い!っく、いったー!っく、うっく、ひっく、いたー!痛いっ!いてぇー、っく、うっく、っく』

『悠!何がたかが門限だ?約束は守る為に約束するんだよ!わかってんのか!お前には携帯と時計もある。時間だってわかってても守る必要はないと思ったんだろ?だったらそれなりの覚悟してたんじゃねーのか?たかが門限の約束なんてどうでもいいってな』

『うっく、いたっ!痛い!っく、ご、ごめんなさい!痛い!っぐぅ、いてー!ひっく』

『泣くぐらいだったら守るべき事は守れ!わかったのか?あと手で20発だ。我慢しろ。約束を軽く受け流してると痛い目に合うって覚えとけ!』

『うっく、いってー!痛い!っく、は、はい!痛い!っく、いたっ!うっく、痛い!っく』

『はい。終わりだ。そのまま尻出して立って反省してろ。ほら!手は頭の後ろで組むんだよ。壁の方を向いてたかが門限と約束を軽んじた自分自身の甘さをよく反省しなさい。わかったか?動くな!手をおろすんじゃねー!』

『ひっく、は、はい。うっく、っく』

はぁー。初めての反省だな。5分や10分過ぎた程度じゃないから明らかにどうでもいいって言う気持ちがあったよな悠之心。でも千佳がどれほど心配していたかわかるか?事故や事件に巻き込まれてないかってとてもお前の事を心配して俺に何度も泣きそうな声で連絡してきたんだよ。俺はお前の携帯の電波を追えばだいたいの場所はわかる。駅前通りでウロウロ遊んでたんだよな。12歳の誕生日を前に厳しくお仕置きしたけど尻の痛みを覚えとけよ。お前はこれから思春期を迎えなきゃいけないんだよ。俺みたいになるんじゃない。

『悠!反省出来たか?』

『っく、はい。俺が悪い。千佳さんに心配かけた。うっく、ごめんなさい。っく』

『お前は俺と違って反省はちゃんと出来るんだな。千佳はお前が帰ってこないから誘拐されたんじゃないかとか事故にあってないかなってどれほど心配していたかわかったならたかが門限なんて言葉はもう出ないだろ?それほどお前の事を大切に思ってくれてるんだ。お前はわかるね?俺より優秀なんだから。おいで!ほら!パンツあげて。俺だってお前の事が心配だ』

『うっく、っく、ごめんなさい』

『俺なんかより千佳に謝るんだな。ほら!風呂入るぞ!消灯時間になっちゃうよ』

『っく、う、うん!』

悠之心!お前は俺より本当に反省が出来る。反抗期に入ってますからね。もっと厄介なのはこれから迎える思春期なんだよ。

『っく、千佳さん。心配かけて本当にごめんなさい。俺は携帯も無視してました。今日ぐらいいいじゃんって軽い気持ちでいたけど千佳さんはすごく心配してくれたんでしょ?っく、すいませんでした』

『したよ!悠ちゃん!めちゃくちゃ心配するよ!悠ちゃんは慶太郎の大事な宝物なんだよ!なんかあったら嫌なの!もう本当に心配したんだからね。でも本当に何もなくて良かった。無事帰ってきてくれてありがとう!悠ちゃん!はい!お風呂入っておいで!慶太郎入ったよ!』

『っく、うっく、俺がバカですいません。慶兄に怒られてから痛いです。千佳さんがどれほど心配してくれたかわかって胸が痛いです。この痛みは千佳さんの痛みでしょ?ごめんなさい。っく』

『もういいよ!悠ちゃん!抱きしめていい?』

『っく、はい』

悠ちゃん!どうして君も人の痛みがわかる子なのよ。慶太郎の弟だからかな。本当に慶太郎そっくりなんだから。悠ちゃんはお尻が痛いんじゃなくて心が痛いんだね。悠ちゃんは慶太郎みたいに優しい人になるよ。慶太郎の弟達は本当にいい子ばっかりなんだから。