ブラザーズ~青い空へ~

『ダメだよ!虎!やめてよ!』

『いいじゃん!もううるさいな!龍は!僕がやるの』

『ダメだって!僕だよ!痛い!虎のバカ!』

『龍の方がバカだよ!』

『コラ!お前ら喧嘩するんだったらもうゲームなんかしなくていいよ!』

『いやだ!龍が悪いんだよ!』

『痛いな!虎がバカなんじゃん!テストだって100点取れないじゃん!バカは虎だよ!』

『龍!虎!ゲームをやめろ!仲良く使いなさいって言ったよな!もうお前らお仕置きだな!龍!来なさい!』

『い、いやだ!ごめんなさい!いや!痛い!いたっ!うわあーん!いや、痛いよ!っく、痛い!ご、ごめんなさい!うえーん、痛い』

『龍!100点取れる事だけが偉い事じゃないんだ。虎をバカにするんじゃない。人をバカにするような人間はいくらテストで100点取れたって全然偉い人間だと俺は思わない。龍にはそんな人間になって欲しくないよ。人を思いやれる人間になってほしい。龍が勉強頑張ってるのは偉いけど人をバカにするような人間になるんだったら勉強なんか出来なくていい。俺は悲しくなるよ』

『ふぇっく、うっく、ご、ごめんなさい、っく、虎!ごめんね!うっく』

『龍はわかるよね。虎!龍がごめんねって言ってるよ』

『うん!いいよ!』

『はい!じゃあ次は虎!お前だ!こっち来なさい!』

『いやだー!僕悪くない!いやーいやだ!痛い!いたっ!痛いよーうわあーん、っく、いたーい!うえーん、いやだー痛い!うわあーん、っく、痛い!うわあーん、いや!』

『虎!お前は龍を何回叩いたと思ってるの!喧嘩をするのは2人共に悪い。でもお前は龍に手を出してるんだよ。龍は痛いんだよ!お前もお尻叩かれて痛いだろ!龍もお前に頭叩かれて痛かったんだよ!わかってるのか?』

『うぇーん、いやだ!ごめんなさい、うっく』

『誰にごめんなさいを言うの?俺じゃないだろ!』

『ふぇっく、り、龍!ごめんなさい、うっく』

『龍!虎がごめんなさいて言ってるよ』

『うっく、いいよ!っく』

『はい!じゃあ終わり。ほら!パンツあげて。はい!おいで!龍!お前もおいで!』

『っく、う、うん!』

『俺は龍と虎に仲良く使ってほしいからテレビゲームを買ったんだよ。喧嘩になるんだったら買わない方が良かったって思うよ。仲良く順番に出来るの?』

『っく、出来る!ごめんなさい!』

『虎は?出来ないの?』

『ふぇっく、出来るよー!っく』

『はい。じゃあ仲良くやってね!宿題は出来てるの?春休みが終わったらお前ら2年生になるんだよ。新しい筆箱や鉛筆買わないといけないね。悠が剣道から帰ってきたら筆記用具買いに行こうか?』

『うん!行く!』

『うっく、僕スケボーほしい!っく、買って!』

『虎!俺の話し聞いてるか?筆記用具を買いに行こうねって言ってるのになんでいきなりスケボーが出てくるの』

『うっく、だ、だってツバサくんもみんな持ってるもん!っく、ほしい!うっく、僕も欲しい!うっく、ふぇっく』

『みんなって誰?クラスの全員が持ってるわけじゃないでしょ。虎はサーフィンやるじゃん。5月ぐらいになればウェットスーツで入れるからユズルがまた迎えに来てくれるよ。スケボーは道路でやったら危ないんだよ!また事故にあったら俺は嫌なの!』

『サーフィンは土曜だけじゃん。っく、学校が終わってからツバサくんもダイキくんもスケボー持ってくるもん!僕も欲しい!うっく』

『俺は怖いから嫌だ。虎が事故にあうのはもう嫌なの!わかってくれよ』

『いやだー!ふぇっく、欲しい!ママー!うっく、うわあーん』

『虎!泣かないの。はぁー。道路では絶対しないって約束する?ツバサくんとダイキくんが道路でやろうって言っても絶対ダメって教えてあげられる?公園かうちの庭だけにして!庭で滑れるようにしてあげるから。わかった?絶対約束守る?』

『っく、う、うん!守るから!』

『お前約束破ったらもっとお尻痛いよ!わかってるの?お前が心配なんだ!本当に庭だけにしてほしいぐらいだよ。ちゃんと滑れるように作ってあげるから家の庭でみんなでやりなさい!わかった?』

『わかった!』

お義母さん!俺は買いたくないです。でも俺が買い与えなくても友達が持っているならどうせ借りてやっている事でしょう。それなら買い与えて家でやらせる方がマシだよね。もう本当にあんな思いはしたくないのにママって言われると辛いな。えっと雄一郎に作ってもらうか。バンプまではいらねーだろ。いるのか?はぁー虎は俺に似てるから怖い。俺はお前を失いたくないんだよ。わかってくれよ。

『虎!どれにするの?』

『あれ!青いの!』

『龍は?』

『僕はオレンジのやつ!』

『悠は?』

『俺はそっちのスケボーじゃなくて本格的なやつがいい!別々で買いたい』

『本当にお前は俺にそっくりだね!んでデッキとウィールとトラックはどのブランドがいいんすか?』

『えっとーデッキはこれ!トラックはどっちが軽いのかな?ベアリングは?』

『これだよ!お前だけで3万余裕で超えるんですけどね。龍達は1万でおさまるスケボーなのに』

『だってどうせやるなら本格的にやりたいじゃん!波乗りの練習にもなるんじゃねーの?』

『波乗りの練習にはまたそれ用のスケボーがあるんだよ。もういいから早く選んでくれ!筆記用具がメインですからね!また拓海も欲しがるんじゃねーのかよ。悠!早くして!凛太郎のおむつも買いに行かなきゃいけないんだからね!あっ!虎!待って!勝手に行かないで!また迷子になるよ!』

『慶兄!これにする!組み立ててくれんの?』


『やってくれますよ。はい!じゃあ行くよ!』


結局3人共にスケボー買うのか。もう俺は心配でたまらないんだぞ。悠は本格的にやるならバンプもいるな。道路でやられるよりは家でやってもらった方がいい。バンプはユズルが持ってるよな。あいつから買い取って雄一郎にうまいこと遊べるように作ってもらおう。あいつん家は親父が大工だからすぐ作ってくれるでしょう。それまで絶対道路でやるなって何度も言い聞かせないとな。事故だけは本当に嫌だからね。

『千佳!おむつ買ってきたよ!』

『ありがとう慶太郎!さっきミルクは飲んだけど大丈夫ですか?パパは?私は美容院行ってくるよ』

『はい。たぶん大丈夫ですよ。俺だっていちお父親ですからね。行ってきて下さい。もう寝るよね?』

『うん!たぶん寝ると思うよ。凛ちゃん!パパとお留守番しててね!すぐ帰ってくるからね!じゃあ行ってきます!』

『はい。行ってらっしゃい。凛太郎!早く寝ようね。ママが帰ってくるまでグズらないでくれよ』

『あっ!誰か来た!』

『悠!モニター見て知らない人ならスルーしとけ!めんどくせーから』

『わかった。虎の友達だ。虎!友達来たよ!鍵あけてこいよ』

『はーい!』

『悠!何人来たの?』

『モニターに写ってたのは2人』

マジか。3人じゃねーかよ。うるさくて凛太郎が寝てくれないんじゃねーのか。テレビを各自の部屋に置いた方がいいのかな?悠の友達と龍、虎の友達が同じゲームはしないもんね。だから悠は俺の部屋でゲームやってるんだよな。でもゲームばっかりやってほしくないんですけどね。うちは託児所みたいになってねーか?俺なんか友達を家に呼んだ事ねーよ。遊ぶ時間なく全て塾にあてられたからな。

『悠!ちょっと凛太郎抱いてて!トイレ行きたいしタバコも吸ってくるから』

『いいよ!凛太郎!眠たい?よしよし』

『悠!凛太郎は?』

『寝かしたよ!ベッド』

『お前の方が寝かしつけるのうまいね!さすがだね!双子を面倒見てただけはある。お前には負けるよ。ありがとう!悠!』

『うん!慶兄は忙しいからね!俺の方が抱いてる数多いから凛太郎も抱かれ慣れたしたんじゃない?』

『そうですね。お前がいてくれて良かったよ』

はぁー。凛太郎は悠がパパだと思ってんじゃねーのか。まあ俺があまりいないっすもんね。でも君はたくさんの人に愛されていいね。お兄ちゃん達がいっぱい愛してくれてるしママも沢山の愛情を注いでくれてるよね。俺もお前を愛してるよ凛太郎。ただ一緒にいる時間が少なくてごめんな。