ブラザーズ~青い空へ~

はぁー。疲れた。今日はクリスマスイブですよ。どうした?俺の子。君は生まれたくないのか?俺に似ないで千佳に似てくれよ。今日生まれてくれるのか?生まれる気配がないみたいなんですけど。今日うちはクリスマスパーティーらしいですよ。俺は仕事だけどね。ガキんちょ達は楽しみにしているみたいです。お義母さん!龍と虎の誕生日はちゃんと俺もお祝いします。お義母さんはクリスマスと誕生日を別々にやってあげてたんすよね。悠が教えてくれました。危うく俺は一緒に済ますとこでしたよ。すいません。もちろんクリスマスの方がついでですけど。2日続けてパーティーをやってあげたんですね。龍と虎はちゃんと愛されて育ってきたのがわかりました。俺ももっと頑張ります。明日が土曜で助かった。今日はクソ忙しいけど明日は早く帰れるだろう。あー電話か。うわー望さんか。

『もしもし?お疲れ様です!望さんお久しぶりです!』

『おう!慶太郎!久しぶり!調子どう?儲かってんの?』

『いやそんなことないっすよ。毎日無駄に働いてます!どうしました?』

『お前にまた頼みがあってデートしてやって欲しいんだよな』

『またですか。相手は疑似だって理解してます?俺結婚してもうガキも生まれるんすよ。俺じゃなくて誰かフリーの子用意しましょうか?』

『いやお前じゃないと無理だ。その日限りなんだからいいじゃねーか。来週土曜あけとけよ』

『望さん!すいません!俺出来ないっす。例え擬似恋愛だろうが俺の奥さん裏切るみたいで勘弁してください』

『はあ?バカか!俺がやれっつってんだよ!』

『すいません。出来ません』

『あーそう。じゃあお前殴られに来いよ!大輔も連れてこい!』

『いや俺は行きますけど大輔は関係ないんでそれは無理です。大輔に手を出さないでくださいよ!俺が殴られますから』

『お前が断れば大輔も巻き込むって事を言ったはずだけど。わからねーんだったら覚えさせてやるよ!今日いつものとこに来いよ!』

『望さん!もうやめましょうよ!俺らもうガキじゃないんすよ。俺だけ行きます。大輔は関係ないんで!』

『慶太郎!お前誰に言ってんだよ!じゃあてめぇが大輔の分までフクロにあえ』

『はい。わかりました』

はぁー参ったね。龍と虎の誕生日前に素敵なプレゼントだ。入院だけは勘弁だな。あー現場か。はいはい。忙しい時期に勘弁してくれよ。壮ちゃん!俺なんか悪い事をしたのかな?龍と虎の誕生日を祝ってやれないかも知れない。罰ですかね。お義母さんごめんなさい。俺が誕生日とクリスマスを一緒に済ませようとした事は手抜きになりますか?すみませんでした。今後気をつけます。あー現場片付けてこなきゃな。イブの夜は大輔も忙しいんですよ。もう俺らはまともに働いてるんすからね。

『社長!ありがとうございました!もう大丈夫です!あとは回せます』

『はい。じゃああとは河原くん閉めまでよろしくね!お疲れ!』

『はい!わかりました。お疲れ様です!』

23時だな。シャワー浴びて行くか。本当なら店に行くべきなのにね。悪いね大輔。忙しいだろ。大輔!もし俺になんかあったらお前頼むよ。頼まれなくてもお前はやってくれる奴だよな。うちのガキ達もよろしくね。あー大輔?

『もしもし?大輔?お疲れ!忙しいっすよね。すいません。俺がさぼって』

『もしもし?慶太郎?お前どこだよ?望さんから連絡あったんだろ?』

『俺は現場がなんとか落ち着いたから今から帰ろうかと思ってますよ。大輔になんか言ってきましたか?』

『慶太郎!お前真っ直ぐ家に帰れ!ほっときゃいいんだよ!お前がいつまでもお人好しで付き合ってるから面倒くせー事になるんだろ』

『あのですね。君の高校の先輩ですよ。望さんにも早く大人になってもらいたいっすね。まあ俺はもう帰りますから大丈夫っすよ』

『俺はもうあの人とはとっくに切った。お前も切れ!あの人は変わんねーよ!』

『そうですね。わかりました。そうします。じゃあ店の方頼みますよ!お疲れ!大輔!』

俺だって切れるもんなら切りたいんですけどね。悪いな大輔。俺もお前を守りたいんだよ。

『お久しぶりです。望さん!』

『慶太郎!お前本当に1人で来たのか!とことんバカだな!』

『そうですね。望さん!もうそんなたいした稼ぎにならないのにやめましょうよ。もう俺ら大人ですよ』

『黙れ!てめぇ!誰に向かってほざいてるのかわかってんのか!コラ!』

『っうぅ。はい。わかってますよ。望さんに言ってるんすよ。後輩にも相手にされなくなったら終わりじゃないっすか。もうやめましょう。大輔には手を出さないで下さいよ!っぐぅ、うぅ、ハアハア、っぐぅ、痛っ!』

『お前らいつまで仲良しごっこやってんだよ!バカか!お前のあとは大輔に決まってんだろ!』

『っぐぁ、や、やめましょうよ。そんなくだらない事は。それに仲良しごっこじゃないっすよ!俺らお互い命はれますからね。っうぅ。大輔に手を出さないって約束してください。っぐぁぁー、じ、じゃなきゃ俺が望さんやりますよ!っうぅ、の、望さん!大人になりましょう。っぐぅ、うぅ、や、約束してくれないんですか?っく、ハアハア、ぐぅ』

『黙れ!何が約束だ!命はれんだろ!じゃあてめぇが死ぬか!』

『ハアハア、そうっすね。約束守ってくれるなら俺はいいですよ。っぐぁ、うぅっ』

『望!てめぇー何やってんだ!いつまでもガキみたいな事やってんじゃねーよ!』

『水樹さん!いや、あの、すいません』

『っうぅ、み、水樹さんがなんでいるんすか?ハアハア、っうぅ』

『慶太郎!お前もこんなバカに付き合ってんじゃねーよ!大輔から連絡あったんだよ!慶太郎が暴走するってな!望!お前この街から消えろ!意味わかるな?』

『は、はい、す、すいませんでした!』

『慶太郎!お前本当にバカだな!行くなっつっただろ!お前はいつも俺の言う事を聞かねーよな!』

『だ、大輔!お前店は?いつもってわけじゃないでしょうよ。ハアハア、うっ、失礼ですね』

『大輔!慶太郎を病院へ連れていけ!慶太郎!お前二度と勝手な事をすんじゃねーぞ!お前らになんかあったら俺がママに顔見せられねーんだぞ!お前らはママの息子なんだよ!』

『すいません。水樹さん。ハアハア、望さんを許して下さい。ハアハア、俺は大丈夫です。望さん!俺に出来る事あったら言って下さいね。まともな事ならなんでもやりますよ』

『うるせーよ!慶太郎!悪かったよ』

『いえ俺らもお世話になりましたから。まともな連絡くださいね。ハアハア。水樹さん!本当にやめてくださいよ!俺が好きでやられたんすからね』

『わかったから早く行け!大輔!早く連れて行け!』

『はい!ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。慶太郎!立てよ!大丈夫か?』

『大輔!俺は大丈夫だよ。ハアハア、店戻れ。俺、車あるし自分で帰れますよ』

『帰れるわけねーだろバカ!車は大丈夫だ!タケルが乗って帰る!早く乗れ!病院行くぞ!』

『ごめん。大輔。俺また迷惑かけた。店は大丈夫?』

『お前の迷惑には慣れてるよ!店は大丈夫だ。雄輔に見させてる』

『そうっすか。すいませんね。雄輔使ってくれたんすね。ありがとうございます。ハアハア、大輔!お前のネクタイくれ。血がとまんねーハアハア』

『バカ野郎!高級なネクタイだぞ!しっかり抑えとけ!』

『ちゃんと返しますよ。ハアハア、やばい俺落ちる』

『慶太郎!もうすぐだ!たえろ!』

壮ちゃん!俺はまだ生かされるのかな。また千佳に心配かけるじゃん。壮ちゃん!俺は許されなくていい。許されるはずがない事はわかってます。だけど俺の大切な守りたい者達はもう傷つけたくないよ。苦しむのは俺だけにしてください。俺の罪です。聞いてます?神様ってのがいるんだったら。お願いしますよ。俺だけにしてください。