でも、寄りにもよって、性欲を満たしたあとの不潔なラブホテルの円形ベッドの上でなんて。


奈緒子は下着姿のまま泣きじゃくり、恵也を責めた。

「散々、やりまくっておいて、突然こんなの酷いよ!
今日だって別れるなら先に言ってよ!
そしたら、こんなところに来ない!」


恵也はうるさい女が嫌いだ。


奈緒子が叫ぶようにいうのに、眉をしかめた。


「なんだあ?人聞きわりぃな。
楽しんだのはお互い様じゃねえかよ。
俺、ちゃんとコンドーム着けてセーフセックスしてたじゃん!感謝しろよ」


「嘘!たまにしない時だってあったよ!恵也には言わなかったけど、生理が遅れる度にデキちゃったのかもって、しょっちゅう怯えてたんだから!」


「着けねえのは、最初の頃の話だろ〜
今更、そんな済んだ話すんなって。
デキたとしたら、お前が浮気したってことだぜ。俺は関係ねえよ」


恵也は、眉間に皺を寄せたまま、ベッドから勢いよく飛び降りた。

床に落ちた白いTシャツを拾い、頭から被る。


「何それ、何それ……」


怒りで、身体がブルブルと震えてきた。