遠距離恋愛の淋しさからあの男、学と、一夜限りの間違いを犯してしまったこと。
(嘘。本当は半年前から20回以上している)

本当に後悔していること。(ホテル名をうっかり学に伝えてしまったことを)

愛しているのは、尚哉だけだということ。(これは本当)



『…わかったよ…
俺にも悪いところはあるから…』


尚哉はそう言ってくれたけれど、その夜は、アヤネと過ごさずに帰ってしまった。




学がホテルに押しかけてきた事件から、ひと月ほど経った頃。


仕事から帰ったアヤネは、尚哉からメールを受け取った。

尚哉は用がない限り、メールなどしてこない。


何か起きたのか、とメールを開いたアヤネはその内容に衝撃を受け、思わず、携帯電話を落としてしまった。

ゴトン!と固い床に重い音が響いた。



[アヤネ、俺にも隠し事がある。
中学時代の同級生とだいぶ前から頻繁に逢ってる。
ドライブしたり、飯食ったりで、身体の関係はないけど…]


ひと月前、アヤネの涙の謝罪にも黙り込んで自分を抱く事なく、
帰ってしまった尚哉。


彼がすぐに、自分を許してくれるなどとは思っていなかったけれど。

遠恋をいいことに、中学時代の同級生と、彼女である自分に隠れて頻繁に逢っているなんて…!


尚哉のメールの内容は、アヤネの嫉妬心を激しく掻き立てた。

自分のしていることは棚に上げ、尚哉のしていた事は、浮気一歩手前だと憤った。