Breathless Kiss〜ブレスレス・キス



えっ…!?


彼のあまりにも突拍子もない発言に、
奈緒子と歌織は固まる。


びっくりして、開いたままになっている歌織の口に、尚哉は素早い動きでプラスチックのスプーンに掬ったカキ氷をひょいと差し入れた。


(えええー!)


奈緒子は仰け反った。


(それって、間接キスに近くない…?)


歌織は、カキ氷が入ったままの口をポカンと開けていた。


「そのりんご飴も一口、食わせて」


尚哉は、歌織の右手首をひょいと掴み、歌織が持っていたりんご飴に軽く一口、噛り付いた。

まるで、りんご飴にキスするみたいに…


「……!」


奈緒子は思わず、片手で自分の口元を覆う。


(うわあ…カッコいい…
でも何だかエッチ…)


歌織は顔が真っ赤で、目を見開いたまままばたきもせず、今にも卒倒しそうだ。


横にいる奈緒子も、真っ赤になってしまった。

心の底から尚哉の行為に仰天した。



なんか恋人同士みたい…


奈緒子がそう思った時。


「てめえ、何やってんだよ。
ナンパかよ」


奥の雑木林から出てきた誰かが、声を掛けてきた。



その若い男を見て、奈緒子は戦慄した。