ーーせっかく地元に戻ってきたし、
今度逢おうよ。



高1の秋、喧嘩別れのようにして、友情が絶えてしまったことなどなかったように歌織は明るく言った。


中学時代、歌織は女王様気質で、彼女のあとを奈緒子がついていくような感じだった。



大人になってから、初めての再会。


『奈緒子が逢ってくれて嬉しい。
何から話そうって考えたら、
昨日の夜、眠れなくなっちゃって』


11年振りに話す26歳の歌織は、柔らかい感じの喋り方をするようになっていた。



『22歳の時、結婚したの。
ん、でも、4年で離婚しちゃったんだ…

今は派遣でデパートの紳士服売り場に勤めているの。
3歳の女の子がいるんだ。

元旦那には、結婚前にギャンブルで作った借金があってね。
本人は競馬だって言ってたけど。
それが発覚したことが1番の離婚原因かなあ…

他にもまあ、色々あるんだけどね。
ダメ旦那と別れて、今は本当ラクだよ!』


伸び伸びとした笑顔で、歌織は言った。


母子家庭とはいえ、両親と同居しているから、経済面では安定していて、気楽に生活しているようにみえた。


仕事が休みの日は、リフレッシュも兼ねて、子供を親に預け、あちこちに出掛けているらしい。