「私だったら、絶対、嵐山行きたいなあ。
あと、おしゃれな店で懐石料理食べたい!それから、先斗町も行きたい。

次は清水寺かな?
太秦の映画撮影所もいいな…お土産は、フルーツ生八つ橋かな!」

奈緒子は目ををくるりと天井の方を向け、数を数えるように指を折った。


「じゃ、合流する?」


「えっ?」


奈緒子はキョトンとした。

尚哉は、上目遣いにいたずらっぽい目を向ける。


「金曜、仕事が終わったら、京都に来いよ。一緒に飯食おう。
で、一泊して、次の日、嵐山の渡月橋行こう」

尚哉はビールを啜った。


「えっ?」


(…一泊?)


首を突き出し、目を大きく見開いて問い返す奈緒子に、尚哉は慌てて付け足すように言った。


「俺の泊まるビジネスホテルが京都駅の近くにあるんだけどね。
もう一部屋とるよ。

まだ多分空き部屋あると思う。
狭いけど、我慢しろよ」


……うわあ…絶対、行く!


奈緒子は嬉しくて叫びそうになり、自分の口を手のひらで覆った。





「ねえ、ちょっと、酔い覚ましに散歩してから帰らない?」