最初に話しかけて来たのはハクモクレンの木でした。

シャボン玉みたいに直ぐに消えてしまいそうな声でした。

「こんにちわ」


健太郎君は辺りを見回しました。

後ろや横を見ると、診察を待って居る人達で一杯でした。

だけど、話しかけてきそうな人は、お母さんたち以外、誰も居ませんでした。