「帰るのね」


「ああ、もうこの場所に僕は必要とされていないし、僕も必要としていない」


「だったらお願いがあるの。

いつか私にこの花を見せて」


「約束するよ。

いつか君にこのはなを見せてあげる。

実際に手にとって香りをかがせてあげる」


僕は砂漠の月夜の奇跡を抱いて眠りについた。

僕の横でフランチェスカは小さな寝息をたてていた。


朝まで一度も起きなかった。